深海で光るサメ発見!!なぜ光る?

蛍光に光るサメが発見される

光るサメ

太陽の光がほとんど届かない深海、海底の岩の割れ目でひっそりと暮らすサメが現在生物研究者たちに注目されているという。なぜそのサメは注目されているのか?それはそのサメが蛍光に光るから。アメリカ・ニューヨーク市立大学バルーク校と米国自然史博物館に所属するデビッド・グルーバー氏の研究チームは、トラザメ科のクサリトラザメとアメリカナヌカザメの2種の「蛍光発光」を研究し、その結果を科学誌「ネイチャー」のオンラインジャーナル「サイエンティフィック・リポート」に発表した。そして、研究を進めるとそのサメの蛍光発光には、さらなる役割があった。

デヴィッド・グルーバー
デビッド・グルーバー氏

 

海の中の青い光を吸収して緑色の光として放出「生物発光」

このサメの発光は「生物蛍光」というもの。これらのサメの体長は最大でも100㎝、一生のほとんどを水深500~600メートルの海底で過ごす。夜行性でめったに姿を見せることはなく、岩の割れ目に隠れていることが多い。そして、クサリトラザメが生息する深海には、青い光しか届かない。その他の光は、海底に到達するまでに海水に遮られてしまうためだ。そこで、生物蛍光は動物の皮膚にある色素が海の中で最も多い色である青い光を吸収して、緑色の光として再放出することで生じる。これは、ホタルイカのように化学反応によって自ら光を発したり、光を放つ他の生物の宿主になったりして光る「生物発光」とは別の現象だという。この生物蛍光を示す生物はクラゲ、ウナギの仲間、ウミガメをはじめ200種を超すことがわかっている。

光る「イワアナゴ」
『イワアナゴ』の蛍光発光

 

サメは青色と緑色で世界を見ている

ワニは青と緑で世界を見ている
ワニは青色と緑色で世界を見ている

しかし、このサメの蛍光発光は人間の肉眼では見ることができない。これは我々ヒトと他の生物が同じ色覚を持っているとは限らないということからだ。では、この蛍光発光するサメにはどんな色覚で世界が見えているのか。ヒト以外の動物がどういう色彩で世界を見ているかを調べるためには、網膜にある色覚用の光受容物質(視物質)を調べるとわかるという。サメの目を調べたところ、わずかな光の中でもよく見えること、さらに人間の目が赤、緑、青3色の光を感じるのに比べ、サメは青色と緑色で世界を見ていることがわかった。

 

蛍光に光るサメはオスとメスで模様が違う

サメの目カメラとの比較

そこで、サメの目に見えている色覚世界を再現したカメラを作り、そのカメラを通して研究対象となっているクサリトラザメとアメリカナヌカザメの2種を見てみると、生物蛍光によって明るい緑色に光って見えたという。そうしてわかったのが、2種類のサメは蛍光に光る模様が異なっており、同じ種のオスとメスでも模様が異なっているということ。さらに、オスの交尾器も光っているらしい。ここから導き出される仮説として、最も可能性が高いのは蛍光発光によって交尾相手が見つかりやすくなるということだという。

 

皮膚の色素に「薬」としての役割が?

さらに、蛍光発光しているトラザメの皮膚を詳しく調べてみると、光を発するだけでないことがわかった。蛍光発光を可能にしている皮膚の色素に「抗菌作用」があるというのだ。この皮膚の色素はMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や腸炎ビブリオなどの有害な細菌を殺す性質も備えており、サメの皮膚にはこうした化合物がびっしり並んでいる。これは『天然の薬』として細菌感染から皮膚を保護している可能性を示唆しているという。

 

生物蛍光の研究はまだ始まったばかりで、研究が進めばまだまだ興味深い事象やそれに対する考察が生まれていくことだろう。しかし、こういった研究の報告を見ていくと、生物が自然環境に見事に適応し美しい世界を形作っているのがわかる。我々人間も自然環境に適応するという部分においては、サメなどの生物に学ぶべきなのかもしれない。そうすれば、今よりも自然と共生できる世界というものも見えてくるのかもしれない。

 

参考:ナショナルジオグラフィック「見えてきた!深海サメの光る理由」「光るサメの秘密を解明、蛍光色素に抗菌作用も