オーストラリアでナメクジを食べた男性が死亡
パーティの時、その場のノリでナメクジを飲み込み体に異変
2018年秋、オーストラリアでふざけてナメクジを食べた男性が、長い闘病の末死亡したという。
車椅子生活を送っていたサム・バラードさん(右)と母親(2018年2月撮影) 画像『The Huffington Post』より引用 8年前にナメクジを食べた結果、体が麻痺していた29歳のオーストラリア人の男性が死亡した。2018年11月2日にシドニーの病院で亡くなったと、現地メディアの9NEWSが報じた。
「news.com.au」などによると、亡くなったのはサム・バラードさん。問題の出来事があった2010年当時は、19歳の有望なラグビー選手だった。
庭で開かれたパーティーで赤ワインを飲んでいるとき、テーブルを這っていたナメクジを見つけた友人たちの間で「食ってみろよ。やれるもんならな」と話題になり、バラードさんはナメクジを飲み込んだ。
すぐに症状が出なかったが、数日後には脚を激しい痛みが襲った。ニューズウィークによると、ナメクジを食べたことが原因かと気になった彼が病院で診察を受けた結果、ナメクジの寄生虫「広東住血線虫」が原因だと分かったという。
ヤフーニュースUK版によると、寄生虫が脳に感染したことで、バラードさんはまもなく420日間の昏睡状態となった。バラードさんは3年間の入院生活を経て退院したが、その後も体の麻痺は残り、車椅子生活を続けていたという。
原因は日本でも感染報告がある寄生虫
原因となったのは、ナメクジを宿主にした寄生虫「広東住血線虫」。賢明な読者の方なら、ナメクジなんて食べるわけないと思うかもしれないが、この寄生虫日本でも各地で感染報告があるというから、遠い国の話などと悠長に構えている場合ではないかもしれない。
画像『時事メディカル』より引用 広東住血線虫は、ネズミの肺動脈(肺へ血液を送る動脈)に寄生する線虫であり、人間の体内で成虫は生きられない。人間への感染ルートについて、ネズミの体内で第1期幼虫となり、ふん便に交じって外界に出る。この幼虫は、ナメクジなどの中間宿主が捕食・接触することで、中間宿主の体内に侵入。そこで人に感染し得る第3期幼虫まで成長する。その中間宿主を食べると、人間にも寄生してしまうのだという。
広東住血線虫に感染したネズミは、熱帯・亜熱帯の東南アジアや太平洋諸島に生息し、主に船舶の積み荷などとともに広く世界中に運ばれている。日本でも、北海道から沖縄の各地で感染ネズミが確認され、第3期幼虫をナメクジなどの中間宿主から検出した地域も少なくないという。引用:時事メディカル
中間宿主としては、今回オーストラリアの男性が食べてしまったナメクジの他に、食用のカタツムリやヒキガエル、タニシの一種、淡水のエビなんかも考えられるという。ナメクジは食べないにしても淡水のエビと来られたら、どこかで食べてしまいそうな気もしてくる。
上記「時事メディカル」の記事によると、多くが駆虫薬や経口ステロイド薬などによる治療で快方に向かうが、現に日本での人への感染が50例以上確認されており、うち1例は死亡しているという。
くれぐれも中間宿主は生食しない、生鮮野菜などもよく洗ってから食べる、調理器具は清潔に保つ、など気を付けよう。