知らぬ間に「攻殻機動隊」並みの電脳化プロジェクトが発動されていた

『攻殻機動隊』の世界が20年後にもスタート?驚きの「電脳化プロジェクト」

SFアニメ『攻殻機動隊』などで知られる電脳化を目指す研究が世界各国で注目される中、日本でもその研究者が現れた。『脳の意識 機械の意識 – 脳神経科学の挑戦』などの著書をもち、意識の神経メカニズムなどを研究する東京大学大学院准教授の渡辺正峰氏だ。彼は2019年3月に設立された「MinD in a Device」の共同創業者となり「20年後までに人間の意識を機械にアップロードする」という目標を掲げている。

https://www.youtube.com/watch?v=gCSQJoijLI4
攻殻機動隊|YouTube画像

 

 

 

 

 

電脳化とは?

電脳化」とはSF漫画、アニメ作品『攻殻機動隊』シリーズに登場する技術。脳に膨大なマイクロマシンを送り込み、神経細胞とそのマイクロマシンを結合させ電気信号をやりとりすることで脳を直接インターネットにつないだり、ネットを経由して脳内で会話したりしてしまうというとんでもない技術だ。だからこそ、アニメ内では政府の要人が脳をハッキングされたりという事件が起こったりもする。『攻殻機動隊』の中ではAIが搭載されたアンドロイドも登場するが、ではアンドロイドと電脳化された人間にどんな違いがあるのか、人間の意識とはなんなのかというテーマも含まれていたりすると筆者は勝手に思っている。

人間の脳をコンピューターにつなぐ実験

そこでこの渡辺准教授の実験である。生物の脳を構成する神経細胞は「ニューロン」と呼ばれ、情報処理と伝達を行っている。そのニューロンの機能や構造は解明されているため、同じ役割をする「人工ニューロン」を作り、もとあった脳のニューロンと人工ニューロンを置き換えていっても人間の意識は残るという理論があるという。渡辺氏はその理論をさらに発展させ、人工ニューロンではなく、脳をコンピューターに置き換えていけば、コンピューターにも意識を持たせることができるのではないかというのだ。人間の脳を機械につなぐ、SF世界の住人が喜びそうな内容だが、渡辺氏は本気である。

「本に書いただけじゃ本気か伝わらない」

渡辺氏が立ち上げた「株式会社MinD in a Device」は、意識に関する長年の研究成果に基づき、中長期的に人間の意識をコンピューターに移植することを目指す、大学発ベンチャー企業だ。20年後の意識のアップロードを目指しつつ、目下の事業としては次世代型AIの開発に取り組むという。では、研究者である渡辺氏がなぜこのベンチャー企業を立ち上げたのか

「やはり本を書いただけでは、どこまで本気か伝わらないじゃないですか。でもスタートアップにして事業として取り組むという決意表明をすることで、『自分を死なないようにしてくれ』と言ってくる人たちからのサポートを得られるかもしれない。マイクロソフトの共同創業者であるポール・アレンが私財を投じてスタッフ数百人規模の脳科学研究所をシアトルにつくりましたが、そういうシナリオを期待している部分もありますね」

倫理についてはあまり考えてはいないが…

渡辺氏はこの実験で、自らが被験者となり意識の謎を解き明かそうとしている。とはいえ、このような実験をするにあたり、倫理的な議論が巻き起こるは間違いないだろう。これについても渡辺氏はコメントしている。

「倫理については、あまり考えていないんです。いま頑張って有人火星飛行を目指しているのに、火星で何個トイレをつくるかまでは考えないでしょう?(笑) ただ、倫理は考えるべきで、今後20年で法整備が必要だと思いますよ」

 

参考・引用:WIRED