映画『アバター』のように自分の分身を操れる時代がもうすぐ来る!?「テレイグジスタンス」って何?

映画『アバター』のような世界がすぐそこに

2009年に公開されたジェームス・キャメロン監督の映画「アバター」。今年「アベンジャーズ/エンドゲーム」に抜かれるまで歴代1位となる27億8800万ドルという興行収入を記録した大ヒット映画だ。その映画「アバター」の中に自分の分身である人造生命体と神経を接続し操作するシステムが登場する。そんな自分の分身とも言える存在とシンクロし、感覚を共有するというテクノロジーが今、誕生しつつあるのだ。映画『アバター』

ロボットに憑依する技術『テレイグジスタンス(遠隔存在)』

それは「テレイグジスタンス」という技術だ。「テレイグジスタンス」の概念を日本語で表すと「遠隔存在」。自分の分身として離れた場所にあるロボットと感覚を共有、そのロボットに憑依したような状態で、人間を時空の制約から開放する、というなんだかカッコいい技術なのだ。このような概念を東京大学の舘名誉教授が1980年に提唱したものなのだが、2017年1月、彦坂雄一郎氏などを中心に、その具現化を目指しロボットベンチャーを起業。その企業名も舘名誉教授が提唱した概念そのままの名前「Telexistence(テレイグジスタンス)」。舘名誉教授の提唱から約40年を経た今その技術の開発は大詰めを迎えている。

彦坂雄一郎COO
「TELEXISTENCE」株式会社 COO 彦坂雄一郎氏

 

「視覚」「聴覚」だけではなく「触覚」もリアルタイムに伝えることができる

視覚聴覚であれば現在のVR(バーチャルリアリティ)の技術の範囲内でもおなじみのものではあるが、「テレイグジスタンス」では、前述の舘名誉教授が開発した、触感を伝えるロボットシステム「TELESAR V(テレサ ファイブ)」により視覚、聴覚に加え触覚まで伝えることができるのが大きな違いだ。「TELESAR V」は振動、圧力、温度という3つのデータを取得することで、触覚を再現できるシステムだという。この「TELESAR V」さらには、現在話題の5Gによる通信速度の向上がリアルタイムな感覚の伝達を実現し「テレイグジスタンス」が可能になったという。

テレイグジスタンスシステム

 

「テレイグジスタンス」を詰め込んだロボット「MODEL H」

ロボット「MODEL H」全身

そして、その「テレイグジスタンス」の技術を詰め込んで誕生したロボットの名が「MODEL H」。全長150㎝ほどのロボット「MODEL H」を操作するために人間は触感が得られるグローブとVRゴーグルを装着。ロボットが何かをつかむとそれに応じ、グローブにはつかんだ感覚が届く。VRゴーグルでロボットの視線となるため、まるで自分がロボットになったかのような不思議な感覚に。移動についてはセグウェイのような体重移動で自走できるようなシステムになっているようだ。

ロボット「MODEL H」

 

「テレイグジスタンス」で何ができるようになる

何やらすごそうなことはわかるが、では「テレイグジスタンス」ではどんなことが可能になるのだろうか?現状は医療、建設、観光、ショッピングでの利用を想定しているという。例えば東京にいながら、離島の患者の診察や手術をする、日本にいながらアフリカの炭鉱などで重機を操るなんてことも可能になるかもしれない。さらには、地球にいながら宇宙旅行を楽しんだり、現在宇宙飛行士などが船外活動としてしている作業を地球にいながら実行してしまうことだってできそうだ。

「MODEL H」観光イメージ

 

「テレイグジスタンスではドラえもんの『どこでもドア』のようなことが行える」そんなコメントがあった。このような素晴らしい技術を体験したいという思いに駆られる反面、観光なんかは目的地に行くまでのプロセスすべてが楽しみ、みたいな部分もあるのでそこは大事にしたいなあ…などと、まだ「テレイグジスタンス」のなんたるかにも触れてないうちから思ったりする筆者であった。

参考:TC bouncy BAE TIME&SPACE